空色


“あたしには、忘れられない人がいるの。そしてその人は、今ここに、ロンドンにいるかもしれないんだ。彼の連絡先も知らないし、今もまだロンドンに住んでいるのかさえ分からない。でも、気持ちが、あたしの気持ちが彼を求めてて。会いたいの…どぉしたらいいのか分かんないよぉ。”

あたしは、ライアンに抱きしめられてた。

頬を伝う生暖かいモノが、喉の奥が苦しくて。

止まらない。

ごめん、ライアン…

あたしはあなたを愛したかった。

でもあたしは今、ロンドンにいる。


ここにいるの…


ねぇ、どぉして?


一度きりでいい、もう一度だけ、あの人に会いたい…



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