空色
parallel lines are never gona cross
“やっぱ無理だし。もぉいいよ。ってか見つかる方が奇跡だし。”
途中から観光そっちのけで彼を探すライアンに、あたしは言った。
夕方は少し肌寒く、夕日が赤く街を照らす。
“ロンドンにいるなら、ここにいてもおかしくないよ。今日は休日だし、ここはロンドンの中で一番栄えてる場所だし。”
“でも休日に出かけてないかもしれないし。やっぱり偶然ここで会おうなんて、夢物語だよ。現実に起こるわけない。”
そう言ってあたしはライアンを置いて歩き出す。
“待ってよ、そんな簡単にあきらめちゃうの?もしかしたらその夢物語が起こるかもしれないのに。”
“はいはい、夕食に間に合わなくなるよ。ホテル戻ろっ。”
そう言って歩き出した時、あたしは不注意で人にぶつかってしまった。