空色


電車に乗り、IDを落とした彼女の住所の近くの駅を降りる。

何故だか胸がざわついた。

遠い昔、写真で見た景色と重なったから…

でも似たような景色はロンドン中にある。

きっとあたしの勘違いだ。

そう自分に言い聞かせるけど、胸がざわつく。

“どーかした?”

鋭いライアンがあたしの小さな変化に気づく。

“何が?さぁ行くよー、迷わないようにしなきゃね!”

あたしは悟られないよう、気持ちを切り替えた。


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