空色


“そうね、あなたの言う通りだわ。それより話題変えない?ロンドンへは旅行で?あなた達アメリカ出身でしょ?アクセントとですぐ分かったわ。”

彼女があたし達に微笑みながら聞く。

“うーん、旅行…じゃないかな。実は僕達バンドやってて、ツアーで今色んな国廻ってるんです。出身はカリフォルニア。”

ライアンがそう答えると、彼女が少し興奮ぎみに口を開く。

“カリフォルニア!?マイクっ、あ、同じアパートの上の階に住んでる人なんだけどね、彼も確かカリフォルニア出身なのっ!聞いたらあなた達の事知ってるかも!?バンド名は?なんていうの?”

あたしはマイクって名前にドキッとしてしまう。

ありふれた名前なんだから、そんな事あるわけないと思いつつ、想像するのは彼の顔…

“いや、多分知らないですよ。僕らはまだ全然有名じゃないアマチュアバンドだから。HOHってバンドの前座なんで、そのバンドなら彼も知ってるんじゃないかな?良かったら今夜のライブ一緒に見に来て下さい☆”

そう言って、ポケットを探りチケットを二枚取り出すライアン。

彼女が少し戸惑った表情をする。


< 124 / 132 >

この作品をシェア

pagetop