空色


『ミス ケーラー。いつも早いな。』

彼女はニッコリ微笑んで、いつもの自分の席に座る。

窓際の後ろから3番目の席。

『あたしの席を誰にもとられないようにしてるんです。』

そう言って彼女は僕を見て笑った。

メガネの奥の瞳に、僕が映っている気がした。

『そうか。』

それだけつぶやいて、僕は彼女から目をそらした。

授業の準備をする為、準備室への扉へと向かう。

『何か手伝うことあります?』

気がつくと、彼女はキレイな金色の髪を揺らして、僕のすぐ後ろに立っていた。

珍しい事ではない。

いつも彼女は一番に教室に来て、自分の席を確保した後、こうして僕の手伝いを買って出る。

いつもの光景だ。

『あぁ、じゃあ今から渡す資料を黒板に貼ってくれ。』



< 13 / 132 >

この作品をシェア

pagetop