空色
『ミス ケーラー。いつも早いな。』
彼女はニッコリ微笑んで、いつもの自分の席に座る。
窓際の後ろから3番目の席。
『あたしの席を誰にもとられないようにしてるんです。』
そう言って彼女は僕を見て笑った。
メガネの奥の瞳に、僕が映っている気がした。
『そうか。』
それだけつぶやいて、僕は彼女から目をそらした。
授業の準備をする為、準備室への扉へと向かう。
『何か手伝うことあります?』
気がつくと、彼女はキレイな金色の髪を揺らして、僕のすぐ後ろに立っていた。
珍しい事ではない。
いつも彼女は一番に教室に来て、自分の席を確保した後、こうして僕の手伝いを買って出る。
いつもの光景だ。
『あぁ、じゃあ今から渡す資料を黒板に貼ってくれ。』