空色
『君だけに言うよ。僕は結婚はしてないんだ。他の生徒には秘密だよ。』
僕は人差し指を口元にあてた。
なぜだか分からないけど、彼女になら本当のことを言っても大丈夫だと思った。
『え?でも指輪と写真は…恋人ですか?』
『うーん、まぁそんなトコ。』
『そうなんですか。今の話、女子が聞いたら大変なことになりそうですね(笑)』
彼女はクスクス笑いながら言った。
『勘弁してくれよ、僕は君を信じていいんだよね?ホント今の子はマセてるっていうか、怖いよ。僕みたいなオジサンのどこがいいんだか。』
僕は肩をすくめて見せる。
『先生はオジサンなんかじゃないし、かっこいいよ。結婚してないってわかったら、本気でアタックしちゃうの、分かる気がするなぁ。』
『僕もうすぐ30だよ?君達高校生からしたらオヤジでしょ。歳だって10歳以上上なんだから。』
彼女の言葉に、僕は困ってしまう。
僕からしたら、みんな子供にしか見えないのに。
自分が恋愛対象に入ってしまうことが不思議だ。