空色
『え?』
鋭い質問をされて、とっさに言葉が出てこなかった。
彼は僕の反応を見て、にっこり微笑んだ。
『じゃ、先生。失礼します。良い1日を。』
『あ、あぁ。君もな。』
手をふって走って教室から出ていく彼をしばらくぼーっと眺めていたが、ふと我に返り、やりかけていた黒板消しを再開した。
子供は時に鋭いな。
見てないようで、よく見ている。
それとも彼が特別なんだろうか。
彼もよく窓際の席で、空を見上げている。
自分と同じように、何かを抱えているのかもしれない。