空色
第一章

a chance comes randomly



“Oh my godness”

“何?”

電話で興奮しながら話すライアンに、あたしは電話を終えるまで待ちきれなくて話しかける。

でもライアンはあたしから離れて、電話の相手と話してる。

“ありがとうございます。えぇ、ぜひ参加します。じゃあ。”

“ねぇ、何なの?”

彼が電話を切ったのを確認して、またあたしは尋ねる。

“ツアーだよ!バンドのHOH、Hell out of here、知ってるだろ?彼らのツアーの前座をオレらがすることになったんだっ!世界ツアーに同行だぜ、ヤバすぎ♪”

ライアンの興奮する理由が、やっとわかった。

HOHは世界中で名の知れたバンドで、パンクに詳しい人なら誰でも聞いたことぐらいはあるバンドだ。

そんなバンドの前座をつとめるなんて、あたし達みたいなまだ売れていないバンドにとっては、夢みたいな話しだ。

“送ったデモが認められて、こないだのダウンタウンLAでやったあの小さなハコに、あのメジャーレコードの人が来てたらしい。これから忙しくなるぞ、なんたってジャパンに、次はロンドン公演だって!”

ロンドン…

その言葉にドキっとした。

だってロンドンは彼のいる街だから…



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