空色
“ジャパン!?マジ?”
“その後はロンドン!?”
あの電話の後、いつものように練習用スタジオに行き、他のメンバーに話しをした。
二人とも急な話しに、言葉を失ってる。
まぁそれが普通だろう。
ホントチャンスなんて、どんな形でいつ転がってくるか分かんないもんだ。
何でも諦めてしまうよりは、ダメもとでやってみるべきなんだと実感した。
“ショージって日本語話せんの?なんか客に話して盛り上げろよ。”
“無理だよ、オレ勉強嫌いだし。日本語わかんねぇもん。単語しか知らね。”
“何でもいいよ、適当に話しとけ。”
男3人は、まず一番最初に訪れることになる、日本の話しで盛り上がる。
あたしは一人、ロンドン公演の事を考えてしまう。
ロンドンという言葉を聞いた瞬間から、頭の中を支配してる彼。
ねぇ、あなたは今、どこにいるの?
何をしてる?
もうすぐ、30歳の誕生日が来るね。
あたしのことは、まだ覚えてますか?
会いたいよ…
結婚してるかもしれないし。
恋人だって、いるだろう。
でもまだ彼女を思っていたら…
もう一度だけでいいから、あなたに会いに行ってもいいですか?
なんて、会えるわけないか。