空色
“なぁツアーってどこまわんの?アジア?”
忙しい時間帯も抜けて、閉店間際の店内は、いつもがらんとしている。
さすがに夜更けにコーヒーを買いに来る客は平日だとそんなにいない。
店長もいないので、バイトだけの気楽でのんびりした時間。
この時は喋るぐらいしか時間のつぶしかたがない。
閉店作業を一緒にするクリスと二人しか従業員もいないので、クリスがあたしに話しかける。
“うん、最初はジャパンで、そん次がロンドン、その後スウェーデンとかだった気もすんだけど、ロンドンの後はよく分かんないや。”
あたしの答えにクリスが軽く興奮する。
“超かっけぇ。ジャパンとかクールだよな、サムライとか見てぇ。”
“サムライって今もいるの?”
“さぁ。でもいるんじゃね?”
正直アジアの事はサッパリ分かんない。
アメリカから出たことのないあたしは、日本がどんな街なのか想像もつかない。
カリフォルニアにあるリトル東京みたいな感じを想像してんだけど。
どーなんだろう。