空色


「はじめまして。今日はよろしく♪」

オシャレな黒縁メガネの奥の瞳が、笑うといっそう細くなった。

正直、しゅうちゃんはあたしの想像とは違った。

なんていうか、いたって普通なのだ。

特別かっこいいわけでもなく、その辺にどこにでもいるような顔。

分類分けをするなら間違いなくあたしと同じ分類だ。

と思う。

マリカがどんな男にもなびかず、ずっと片思いしてた相手なんだから、想像の中のしゅうちゃんは、もっとかっこいい大人の男だった。

「レオ君も、今日はありがとう。HOHは学生時代好きだったバンドなんだ、生で見れるなんて嬉しいよ☆」

何も知らないしゅうちゃんは、彼に笑顔を向けた。


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