空色


「ひかり。お前さっきから危なっかしい。」

突然レオの声がして、斜め前から伸びた手があたしの腕をつかみ、人に流されそうになってたあたしを近くに引き寄せた。

途端にあたしの心臓が今までにない早さで動きだすから、びっくりする。

「もう大丈夫だから。」

そう言うあたしにはお構いなしに、あたしの手を引くレオに、嬉しいと思ってしまう自分が嫌だ。

「ねぇ、レオってば!」

「うっせ。人混み抜けるまで我慢してろって。」

そう言ってあたしの手を握り続ける彼に、このままずっと人混みを抜けなければいいのになんて考えてしまうあたしはバカだ。


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