空色
act 2


「ねね、それってさ、カラコン?超青くね?」

薄暗い仕切られた部屋の、どこにでもある居酒屋で、ドリンクと食べ物が並べられた机を挟んで目の前に座ってる男の子が、あたしに向かって話しかける。

その隣にいた男の子も、彼の言葉にあたしの瞳を覗きこむ。

「ホントだ、超青いね。でもなんか不自然。」

彼の言葉に、隣にいた女の子達が一瞬顔を見合わせる。

まるで何か触れちゃいけない話題のように。

「ごめんね、不自然で。色変えられたらいいんだけどね、カラコンとかしたくても無理だし。」


あたしの言葉に、さっきまでの楽しそうだった空気が一瞬で凍りつく感じがした。

「え、じゃあひかりちゃんってハーフとか?」

目の前に座る男の子が、重い空気を断ち切るように、明るい声で言う。

「ううん、純日本人だけど?」

「だよな、ハーフって感じの顔立ちじゃないし。やっぱじゃあそれカラコンなんじゃね?だって普通に考えて有り得ないっしょ、その色。」

まん中に座る、さっきあたしの目が不自然だって言った男が、また空気の読めない発言をしちゃったもんだから、女の子達が顔を見合わせる。

さっきよりも重い空気。

「有り得ないのは、あんたじゃない?」

そう一言告げて、あたしは席を立った。

「ひかりちゃんっ!どこ行くの?」

隣の女の子が心配そうに声をかけてくる。


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