空色
“ひかりっ!”
誰かがそう叫ぶ声と、盛り上がってる観客に押されて倒れそうになった女の子を後ろから抱きしめるように支えた。
とてもかっこいい男の子だ。
歌いながら、ついつい見てしまう。
目が離せないって言った方がいいんだろうか。
日本人には見えない顔立ち。
ザックの親戚だろうか?
どことなく、そう思うと似てる気もする。
彼に支えられた女の子は、顔がみるみる赤くなった気がした。
ステージに向けたライトが眩しくて、あまり表情までは読み取れない。
でも女の子はアジア人であろうことは、なんとなく分かった。
彼女の瞳があたしを見上げる前に、あたしは目線を彼らから外し、歌に集中した。