空色
「トイレ」
そう言って席を立ったあたしの後ろから、幹事役の男の子が彼を責める声が聞こえた。
「圭介っ!おまえ、無神経すぎ。謝んなよ!」
「は?ってか、だってあれを地とか言っちゃうの有り得なくね?ハーフって感じでもないし、ってかむしろめっちゃアジア顔だし。外人に憧れちゃってる系?」
「圭介っ!!」
こんな風に言われるのには、慣れている。
あんなにはっきり面と向かっては誰も言わないけど。
みんなが思ってることなんて分かる。
ハーフみたいな、彫りの深い顔だったら許されるけど。
あたしみたいな、ぺっちゃんこの鼻した、のっぺり顔じゃ、こんなキレイな青い瞳は似合わない。
不釣り合いだって、みんな思ってる。
それでもあたしは、茶色のカラコンを入れる気はない。
あたしの目は、誰かが命をかけてくれたもの…
恥じる事なんてひとつもない。
むしろ誇らしい。
カラコンなんか入れたら、失礼すぎる。