空色


言葉が通じないっていうのは厄介だ。

日本語なんて何も分からないだけに、ヒカリがほんの少しでも英語を理解してくれるコトがありがたかった。

“えっと、HOHのライブには何度も来てるの?”

トイレからもと来た道を二人で歩きながらあたしは尋ねたが、ヒカリは理解していないようだった。

首を傾けながら、不思議そうにその青い瞳であたしを見つめる。

近くで見ると、ホントに青くて、彼女の瞳と良く似ていた。

まぁ青い瞳なら誰でも一緒なんだけど。

過去に引き戻されてしまうあたしは、まだあの人に縛られてるんだろう。

ヒカリの瞳は、あたしを過去に引きずり込む。


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