空色
「…お金は?」
マリカがあたしの手を引っ張ってレジを素通りしてエレベーターの前で止まるから、自分の食べた分ぐらいは払おうと思っていたあたしはマリカに尋ねる。
「あぁ、あの男に払わせとけばいいって。それよりこれからカラオケ行かない?ストレス発散♪」
慣れた感じで素早くメールをうち終わったマリカがあたしの方を見てにっこり笑う。
マリカがあたしみたいに青い目をしていたら似合うんだろうなって思う。
少しハーフを思わせるような白い肌に栗色の髪。
鼻筋もすっと通って、人より少し茶色い瞳はくりっと大きい。
「いいの?」
「いいの、いいの☆」
そう言うマリカに引っ張られるまま、エレベーターに乗り込もうとした時だった。
「マリカっ!」
幹事役だった男の子がこっちに向かって走ってきて、閉まりかけたエレベーターの扉を手で止めた。