空色


「ひかりと同じ瞳してたよなぁ。なんていうか、ただ青い瞳ってだけじゃなくてさ、こう、人を惹きつける何かがあるっていうか。覗いてると吸い込まれそうな、そんな感じ。」

レオがあたしの瞳を覗きこみながらそんなコトを言うから、あたしの心臓がいつもの倍ぐらいの速度で動き出す。

「意味分かんないし。」

そうそっけなく言って、目をそらす。

じゃなきゃ心臓がおさまらない。

っていうか、あたしの目じゃなくてレオの目のが人を惹きつけるし。

「まぁ何か似てるよ、ヒカリとモーガン。うん。」

レオはそう言って1人で納得する。

だけどあたしは信じられない。

だって、あんな綺麗で整った顔の人と似てるなんて、有り得ないにも程がある。

いくらなんでもそんなに自惚れる程バカじゃないし。

単純に瞳の色が同じってだけで、他は何もかも違う。



だけど、彼女の顔を懐かしく感じてしまうのは何故だろう。

遠い昔、どこかで会ったような…


ミュージシャンなんだから、何かネット上とかで写真を見たのかもしれないな。

深く考えることじゃないんだ、きっと。

だって、あたしと彼女には何の接点だって見当たらない。


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