Sweet Love
……もう体育祭、サボっちゃおうかな。
私は重い溜め息を吐くと、気を取り直して、男子達が種目決めを行っている背面黒板へと目をやった。
「亮は、何に出るんだろ」
体育祭の花形種目である、クラス対抗リレーに亮の名前があった。
「やっぱ亮がアンカーかあ。あいつ足速いもんな」
「亮が出んなら俺らのクラス勝てんじゃね!?」
なんて噂話が聞こえてきた。
さすが亮。やっぱり亮と私は、生まれてきた星のもとが違うんだろうなあ。
「ん?」
そういえば私、亮が運動してるとこ見たことない。ていうか教室にいる以外の亮の一面自体、見たことないんだ。スポーツ万能らしい亮が風を切って走る様は、さぞかしかっこいいことだろう。
……見てみたい。
一瞬体育祭エスケープがよぎりはしたものの、亮の晴れ姿が拝めるとあってはサボるわけにはいかなくなった。こうなったら、全身全霊で体育祭に臨んでやろうではないか。