Sweet Love

生徒達がグラウンドに集まると、開会式が始まった。準備体操などを終えて応援席に戻ると、競技は滞りなく行われていく。

「女綱引きの出場選手は移動して下さい」

……出番がきた。

「よっしゃーうちらの力見せつけたるでぇー!!」

「うす!!」

ゴリラのような女団長の掛け声とともに、チームの団結力はピークに高まった。ふと相手チームに目をやると、こちらも負けておらず、熊のような団長が何やら吠えている。

せ、せめて生きてかえりたい。

「さあ縄持ってねー。あ、まだ持ち上げないでね。そうそう。よーし、じゃあ用意……」

バーンと、戦闘開始を告げる銃声が校庭に響き渡った。

「腰は低く!!重心は後ろに!!」

団長が抜け目なく指示を飛ばす。このゴリラ、ただのゴリラではないようだ。

しかし私にはその指示をきく余裕がない。周囲の勢いに圧倒され、ただ縄を握るのみだ。引くこともままならない。と、前の大女が倒れかかってきた。お、重い。潰される……。

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