Sweet Love
ふと隣を見ると、彩花が凄まじい形相で必死に縄を引いていた。
すると、またもバーンと銃声が響き渡った。どうやら勝負がついたようだ。あのゴリラ団長の掛け声がきいたのか、私達のチームが勝ったらしい。
「よっしゃー!!この調子で次も勝ち進んだるでえー!!」
「どこまでも着いてきます、団長!!」
またあの地獄を味わわねばならないのか……。
手のひらにくっきり残った縄のあとを見つめたまま、私はすっかりブルーになっていた。
奮闘の末、結局、二位という結果を残した。悔しがるチームのメンバー達をよそに、私はさっさと席へと戻った。私を見るクラスメート達の目が変わっている気がしたが、もうどうでもいい……。
その後も順調に体育祭は進んでいったが、私達のクラスはなんだかんだで好戦していて、『最後のクラス対抗リレーでいい記録を残せば優勝出来るんじゃないか』的な雰囲気が漂ってきた。
鍵を握るのは、もちろんアンカーの亮だ。私はせめて、亮に「頑張って」と言いたかった。今朝、亮は笑顔で私にそう言ってくれた。