Sweet Love
「三宅ー頑張れー!!」
「ひな!!ファイトー!!」
たちまち方々から声援が飛ぶ。体育祭もこれでラストだ。そりゃあ盛り上がる。皆が身を乗り出して応援する中、私は声を発することも出来ずにいた。ただただ、不安を胸にクラスのバトンの行方を目で追っていく。
「あー……優勝は、無理かなあ」
殆どの選手が走り、リレーも終盤に差し掛かったが、私のクラスはあまり思わしくなかった。結局八チーム中五位という微妙な順位で、バトンはアンカー亮へと回った。私は祈るような気持ちで、亮を見つめた。
「……あれっ亮、凄くない?」
クラスの女子が声を上げた。驚いた。亮、走れてる。いや、それどころか、ぐんぐん順位をあげていくではないか。足なんてなんでもないというように、亮は風を切って前方の走者を追い抜いていく。
「これ、もしかしていけるんじゃね!?」
「亮!!頑張ってー!!」
亮の善戦に、諦めモードだったクラスメート達が活気を取り戻した。
「高橋、すごすぎ……」
彩花までもが目を見張る。
亮、本当に大丈夫だったんだ。……良かった。
私は心の底から安堵していた。