Sweet Love

西田桃の語尾は少しだけ震えていて、ああ、泣いてるんだって思った。

「亮は毎日、一生懸命練習してた。別にそんなことしなくてもいいのに、みんなの期待に応えようとして、頑張ってたんだよ!!」

知ってるよ。

「普通に走れてたら、勝ててたはずなのに……アンタのせいだよ。アンタは亮の努力を全部、無駄にしたんだ!!」

亮が誰よりも頑張ってたこと、知ってる。誰よりも体育祭を楽しみにしてたことも、知ってる。ずっと、見てたんだから。

ごめんね、亮。私が余計なことしたばっかりに。ごめんね……。

熱を持った頬に、涙が伝った。

ごめん……。

「何?亮が棄権になったのって、高橋さんのせいなわけ?」

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