Sweet Love

勉強をしている間も、亮は何かと冗談を言って私を笑わせてくれた。私にとってはまさに夢のように楽しい時間。私達は完全下校時間ギリギリまで残っていた。帰りは、駅まで二人で歩いた。

テストまでは約一週間ある。あと一週間は、この幸せな日々が続くんだ。

その次の日も次の日も私は放課後だけを楽しみに生きていた。

「ねえねえ、ゆかちん」

「ん?」

亮は問題集を置くと、頬杖をついて私を覗き込んだ。

「ゆかちんってキティちゃん好きなの?」

そうなのだ。私の筆箱もシャーペンも全部キティちゃん。よく突っ込まれるんだけどやっぱり好きだから集めてしまっている。

「ゆかちんのキャラじゃなくない?」

「うっさいなあ。好きなんだからいーの!!ほら、そんなことより勉強するよ勉強っ」

「わかったわかった」と亮は問題集を開いた。でもその目は、まだ興味深げに私のキティちゃんグッズを見つめていた。

亮はたまに、『授業料』と言ってマックでポテトを奢ってくれたりもした。そんな時、私は『今私達って恋人同士に見えてんのかな』と気が気じゃなかったので、かなり挙動不審だったと思う。

幸せな日々は、あっという間に過ぎていく。そしてとうとう、亮との勉強会の最終日が、訪れた。

「あー終わったあ」

亮はシャーペンを放り投げて、うんと伸びをする。

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