Sweet Love
赤沢さんがいなくなってからも、私は一人、呆然と立ち尽くしていた。
西田桃と、亮が?
何で、いつから……?
わからない。わからない……。
「あーゆかちん、いたいた!!」
突然の声に、私はビクッとして振り返った。
「亮……」
「いつまで待っててもゆかちん来ねえんだもん心配なって教室まで見に来ちまったよ」
亮はいつものように軽く微笑みながら歩いて来る。その、いつも通りの笑顔が、私は酷く悲しかった。特別なものじゃないって、わかったから。
「あ、そうそう!!ゆかちんとの勉強の甲斐あって今日のテストマジ調子よかったよ!!俺って、やれば出来る天才かも。……んで、話ってなんなの?」
傍にあった机に腰掛けて、亮は視線をこちらに投げた。
笑って言おう。『何でもないよ』それで、何もかも元通り。
……言うんだ。
「な……」
もう、駄目だ。声が、出な……。
「ゆかちん!?」
私の頬に、涙が一筋、伝った。