Sweet Love
そのまま私は風呂にも入らず食事もとらずに、制服のまま泣き疲れて眠った。
翌朝、雀の囀りとともに早めに目が覚めた。鏡を見てみると、アイラインもマスカラもぐちゃぐちゃになって顔がぱんぱんに浮腫んだ化け物が映っていた。精神的にも身体的にも学校になんか行ける状態ではなかったが、テストなので休むわけにはいかない。
私はとりあえずシャワーを浴び、制服を着て、身なりを整えた。
私は亮に恋をしてから学校に行くことが割りと好きになっていたが、失恋した今、そこに向かうことはまるで針のむしろに向かうように憂鬱なことであった。人間って、簡単に天から地まで堕ちると思う。前にあった扉を開いてみたら別世界だったってくらい、簡単に。
「ゆかちん、どうしたの?今日、いつもに増して顔酷いよ?」
「……ほっといて」
彩花の毒舌に耐える気力すらない。
瀕死の精神力で試験を乗り切った。もう今回のテストは全滅だろう。
帰り際、
「ゆかちん!!」
亮が声を掛けて来た。
「あの、昨日のことだけど……」
「ごめん。急いでるから」
私はそれだけ言って、教室を出た。亮の顔は、見ないようにした。