Sweet Love

「ううん、何でもない」

その時の西田桃の表情は、弱々しくて、消えちゃいそうなくらいに儚げだった。

でも、すぐにいつものうるさくてウザいギャルに戻っちゃったんだけど。

もしかして、二人は上手くいってないのかな?

――駄目だ、余計なこと考えるな!!どうせ亮が、私のことなんて相手にするわけないんだから。

私は、もうあんな思いしたくなかった。もう、恋なんてしたくなかった。

私は、亮から逃げてた。

それから数日が経ったある日、私は課題に追われ、教室に残っていた。『ついでにやっといて』と頼まれた班員の分まで仕上げなければならない。断れないのは格下女子の悲しい性と言えよう。

「再放送のドラマ、ビデオ撮っとけばよかっ……」

と言いかけたその時、ガラッとドアが開いた。

そして、顔を出してきたのは

「ゆかちん」

亮だった。

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