Sweet Love
無駄なものなんてないって、西田桃は教えてくれた。
そうだね。だって今私、笑えてるもん。
あの時の悲しみも苦しみも糧にして、今の私がいる。ただ逃げてるだけだったら、何も手に入らなかったかもしれなかった。何も、変わらなかったかもしれなかった。傷付いて傷付いて、それを乗り越えて、やっと手に入るものもあるんだ。
流した涙の分だけ、人はきっと強くなれる。
「そっか。桃そんなことを……」
「うんっ。私なんか、西田さんって悪い人じゃないような気がするんだ。ちょっと怖い時はあるけどね」
「ははっ。あいつはいい奴だよ。すぐ突っ走っちまうところはあるけど」
まあでも、と亮は私の頭に手を置いた。
「またなんかあったら、俺が全力で守るから、さ」
私は「うん!!」と微笑んだ。あなたが教えてくれた、最高の笑顔で。