不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「ごめん。待った?売店が込んじゃってて。」
ミヤビが、校庭の端にある芝生で待っていた私とマイのところへ走ってきた。
私達のいる場所は、ちょうど私立百合ヶ丘と河下工業の仕切りの金網の場所。
金網の先には、男の子達が、校庭で野球をしているのが見えた。
私達は、それぞれのお弁当を開け、食べ始める。
「はぁ~、やっぱり、売店のお弁当は味気ないよ。」
ミヤビは、ため息を漏らす。
「・・・これ、よかったら食べる?」
マイが、ミヤビにタコさんウインナーを差し出す。
「・・いいの?」
うれしそうなミヤビ。
「うん。」
ミヤビは、マイからタコさんウインナーを貰い、おいしそうにほおばる。
「やっぱり手作りはおいしいね~。」
「それ、誰が作ってもいっしょだよ。」
マイは、ミヤビの言葉を可笑しそうに笑う。
「わかってないなぁ~、マイは。料理に愛情があるかないかでぜんぜん味が違うんだよ。まさにこれは、マイのお母さんの愛情たっぷりだね。」
ミヤビは、マイを真面目な顔で諭す。