不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「・・・それ、私が作ってるんだけど・・・」
マイが少し恥ずかしそうにつぶやく。
「えっ?」
思わずマイを見る私とミヤビ。
「・・・そんなに見ないでよ。」
マイのお弁当の中には、かなりの種類のおかずがあった。
「それ全部、手作り?」
私は、驚いてマイを見る。
「うん。」
「冷凍食品じゃなくて?」
ミヤビも驚いた顔。
「うん。お父さんが冷凍食品嫌いだから。」
「お父さんのお弁当も作ってるの?」
さらに驚く私とミヤビ。
「うん・・・お母さん・・・いないから。」
言いにくそうにマイが言葉をこぼす。
私達の間に微妙な空気が流れる。
「あ、お母さんが死んじゃったの、もう、1年前のことだから。・・・ごめんね。変な空気にしちゃって。・・・ただ、せっかく出来た友達に嘘つきたくなかったから。。」
私達の間の変な空気に気づいたマイがすぐに謝る。