不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「あっ!」
少し私とミヤビから距離をとっていたマイが声を上げる。
「どうしたの?」
私は、マイの視線の先を見ると、そこには、金網の反対側に顔を真っ赤に染めたコウが立っていた。
「・・・・」
私と視線があっても、コウは無言のまま。
「何よ、コウ?」
しょうがなく、私からコウに声をかける。
「・・・いや、その・・・」
「はっきり言いなさいよ。」
「・・・それじゃ・・・・いや、ルミが女が好きだとは知らなかったから、驚いて・・・」
「はぁ?何、勘違いしてんのよ。」
コウは私から視線を逸らす。
そんな私の背中からミヤビが面白そうに抱きついてきた。
「ごめん。ばれちゃった?」
笑えないミヤビの悪戯。