不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「大丈夫?・・・あっそうだ、ちょっと待っててね。」
私は、織田リョウが何か話すのも待たずにコンビニの中に戻る。
ハンカチとミネラルウォーターを買う。
織田リョウの元に戻り、買ったばかりのハンカチをミネラルウォーターで濡らして、織田リョウの顔の血を拭く。
「・・・ねぇ、ちょっと拭きにくいから、座ってくれない?」
織田リョウは私に言われたとおりに、コンビニの駐車場に腰を下ろす。
私は、何度もハンカチをミネラルウォーターで濡らして、織田リョウの顔の血を拭く。
「・・・ッ!」
織田リョウが痛そうな声を上げる。
「あ、ここ切ってるよ。」
織田リョウはひたいの髪の生え際を少し切っていた。
私は、すぐにコンビニで絆創膏を買ってきて、織田リョウの怪我の部分に貼ってあげた。
「これで大丈夫だよ。」
私は、自分の仕事に満足して、笑顔で織田リョウを見る。
「・・・・よこせよ!」
織田リョウは、私が持っていたミネラルウォーターの残りを無理やり取ると、残っていたミネラルウォーターを一気に飲み干した。
そして、空になったペットボトルを、駐車場に無造作に投げ捨てた。