不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「・・・リョウ・・・」
私は、耳の側でささやかれた言霊を繰り返す。
「そうだ、俺はリョウ。忘れたら、殺すからな・・・ルミ。」
私の心にリョウの名前が、深く刻み込まれた。
リョウは、バイクにまたがる。
「帰るぞ、乗れ!」
私は素直にうなずき、リョウの背中につかまる。
公園に来る時と同じように相変わらずバイクの上は寒かったが、それにも関わらず、私の耳だけは、まるで炎のように燃えていた。
そのおかげで私の体内は熱いのか、寒いのかわからない状態。
それはまるで、人が蒼い炎を見て、熱いのか冷たいのか錯覚を起こすような感覚。
今、私は、まさに蒼い炎に照らされていた。