夜獣2-Paradise Lost-
「だったら、かかって来い」

狂気に魅せられ、影響を受けた人間達。

人間を辞め、獣へと堕ちる。

「調子に乗るんじゃねえぞ」

前方と後方から、獣達が一斉に襲い掛かってくる。

拳を避け、武器を避け、相手の間合いへと入り込む。

顔を殴り、腹を蹴り、塀へと投げつける。

三人は痛みを負い、地面へと倒れた。

自分も多少の傷は負ったが、支障はない。

「まだ、終わりじゃない」

三人を無視して歩いていく。

きっと、街中にはいないだろう。

甘粕も、敵が多すぎる場所に戻らないと思っているはず。

どこに向って歩けばいいか解らない。

はぐれてしまった以上は偶然しかない。

歩いている内に徐々に体力が回復していく。

そうして、たどり着いた先は暗闇に包まれた公園だった。

そう、狂気が始った公園。

人が襲われやすく、人の尊厳を奪う場所。

誰かが遊ぶ安寧の地であるはずが、危険なスラム街と化していた。

救いはない。

誰かが得をすれば、誰かが損をする。

歯を強く噛締めて、怒りが全身を覆う。

『奴』は、生きている。

だが、『奴』の事を考える前に、やらねばならない事がある。

それは、甘粕史郎との決着だ。
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