夜獣2-Paradise Lost-
感覚が再び蘇る。
白い濁りを突き抜けることなく、見えない弾力によって拳が弾かれる。
濁りの向こう側は、体を宙に浮かせて後方へ飛んでいく。
1秒も立たない内に、門下生達を飛び越えて大の字で壁に激突する。
拳の形を顔に残した海江田は、白目を剥いて気絶をしながら壁を伝って地面げへと落ちていく。
時間が止まったのも束の間、師が大声を上げる。
「病院に連絡しろ!」
門下生達の騒音が道場を埋め尽くす中、海江田とは別の事を考えていた。
「これが、僕の力」
相手を吹き飛ばす威力を持つ弾丸を放つことが出来る。
恐るべき能力。
神が与えた都合の良い能力。
使い方によって、乾を肉片に出来るんだ。
僕は、芽生えた能力によって歓喜に包まれ笑っている。
「神崎君、海江田君は構えてなかったんだぞ」
「武道は何のためにあるんですか?」
「え?」
突然の問いにきょとんとした顔をしている。
「武道は自分の身を守るためにあるものじゃないんですか?実践では相手にいつ襲われるかわからない状況なんですよ」
乾は油断している間に夕子を殺した。
油断こそが人間を壊すんだ。
常に気を張りながら獲物と対峙しなければ、食われてもおかしくない世界だ。
僕は、油断の結末を教えただけだ。
「間違いではないが、その時ではなかった」
「詭弁です」
今日はお開きだと思い、師に背を向けて更衣室へと向かった。
「君は何を目指しているの?」
師による最後の質問には答えがある。
「岩を砕く石ですよ」
白い濁りを突き抜けることなく、見えない弾力によって拳が弾かれる。
濁りの向こう側は、体を宙に浮かせて後方へ飛んでいく。
1秒も立たない内に、門下生達を飛び越えて大の字で壁に激突する。
拳の形を顔に残した海江田は、白目を剥いて気絶をしながら壁を伝って地面げへと落ちていく。
時間が止まったのも束の間、師が大声を上げる。
「病院に連絡しろ!」
門下生達の騒音が道場を埋め尽くす中、海江田とは別の事を考えていた。
「これが、僕の力」
相手を吹き飛ばす威力を持つ弾丸を放つことが出来る。
恐るべき能力。
神が与えた都合の良い能力。
使い方によって、乾を肉片に出来るんだ。
僕は、芽生えた能力によって歓喜に包まれ笑っている。
「神崎君、海江田君は構えてなかったんだぞ」
「武道は何のためにあるんですか?」
「え?」
突然の問いにきょとんとした顔をしている。
「武道は自分の身を守るためにあるものじゃないんですか?実践では相手にいつ襲われるかわからない状況なんですよ」
乾は油断している間に夕子を殺した。
油断こそが人間を壊すんだ。
常に気を張りながら獲物と対峙しなければ、食われてもおかしくない世界だ。
僕は、油断の結末を教えただけだ。
「間違いではないが、その時ではなかった」
「詭弁です」
今日はお開きだと思い、師に背を向けて更衣室へと向かった。
「君は何を目指しているの?」
師による最後の質問には答えがある。
「岩を砕く石ですよ」