夜獣2-Paradise Lost-
「二人一度に来てもいい」

一対一は、格闘家や能力者じゃなければ成長は望めない。

やるならば、想定外の動きをして欲しい。

「うわ、こいつアホ?」

「さっさとやればいいんじゃない?」

二匹が動いていないのにも関わらず、草むらは不自然な動きを続けている。

草むらには何かがある。

「あー、じゃあ、三人でやっちゃうか」

邪魔をされて苛立っているのか、金髪ロンゲが草むらから出てきた。

「ありがたい」

三匹は、犯罪を愉悦としそうな顔をしている。

そう思った矢先、鼻ピアスがポケットから折りたたみナイフを取り出す。

「殺人も恐れないか」

「クソガキが、死んどけや」

ナイフを心臓めがけて突き刺そうとする。

僕も死ぬわけにはいかないので、半身になって構えを取っていた。

攻撃の流れを読めば、対応は出来る。

鼻ピアスが間合いに入ると、手の側面部分で腕を打ち落とし、体勢を崩したところから上段蹴りを顔面に決める。

脳が揺れたのか、気を失い倒れる。

しかし、油断はしていない。

後ろから棒切れを振り下ろそうとしているケツアゴ。

体を回転させ、棒を避けたところで裏拳をコメカミ部分に与える。

「ふう」

金髪ロンゲを見ると、腕の中には人質らしき人間が捕まっている。

「へへ、ゲームオーバー」

人質を良く見ると、懐かしき顔に驚きと戸惑いを隠す事が出来なかった。
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