夜獣2-Paradise Lost-
「桜子」

三年経っているが、顔の作りは変わってない。

制服が各所で破けており、気を失っている。

草むらでお楽しみ途中だったのか、お楽しみを始めるところだったのか。

どちらにせよ腐敗している。

だからといって、僕は正義の味方として活躍する気はない。

桜子を助けるとよりも、状況を楽しんでいるからだ。

「お前が動いたらこの子が血だるまなっちゃうよ?」

桜子の首元にはナイフが突きつけられている。

馬鹿の一つ覚えみたいに、刃物を使うのが好きなようだ。

「まずは座れ」

指示に従おうとして、俯くと面白い物が落ちている。

「僕が座れば、その子は助かるのか?」

「ああ?お前次第だろ?」

「そうか、僕次第か」

すでに力を解放しており、目には白い空気が映っている。

間合いが離れているから安心しているのか、油断してナイフをこちらに向ける。

隙が出来、足元にあるナイフ付近の白い空気を軽くけると、爆発の勢いによってナイフが飛んでいく。

運が悪ければ桜子に当たったかもしれない。

だが、当たったのは金髪ロンゲの脛であった。

「ひ、ひげ」

空気を蹴った時点で僕は次の動きを見せる。

金髪ロンゲの間合いに入り、ナイフを持った腕を掴んで鼻に拳を打ち込んだ。

桜子は崩れおち、金髪ロンゲは悶えている。

「僕は、助けを呼ばないと言ったぞ」

最後にアゴを蹴り上げ、金髪ロンゲは地面に落ちた。
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