夜獣2-Paradise Lost-
距離が開いた。

圧倒的に不利なのは僕であり、海江田の傷は浅い。

「はあ、はあ、はあ」

連戦だけあって、疲労の色は隠せない。

「やはり、油断のならない奴だ」

「必ず乾の場所を聞いてやる」

「お前じゃ彼の元へ辿り着く事など出来んさ」

海江田には余裕があり、僕を倒そうと距離を縮める。

「知った口を利くんじゃない」

「お前が二流なのは今の実践で証明された」

「まだ、何かが足りないのか?」

「凡人は凡人らしく生きていけ。天才に近づく事は愚かで滑稽だ」

「お前はもう喋るな!」

前へ出ようとしたが、片足に力が入らない。

それが隙になった。

次の瞬間に僕の顔面には突きが入っており、後頭部にも痛みが走る。

脳を揺らされた僕は全身の力が抜けていく。

「お前は武人には向いていない」

薄れ行く意識の中、矢が片足に刺さっているのを見た。

「なん、で?」

視界が急速に闇に包まれる。
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