夜獣2-Paradise Lost-
女は落ち着いた雰囲気を出しているが、茶髪が邪魔している感じがある。
そこから、僕の事を無視するかのように通り過ぎて、渚の傍に膝をつく。
「大丈夫?」
「すいません。お手数、かけます」
「渚はけが人、気にするな」
屋敷に住んでいるという事は内情を知っているのか。
次の瞬間、内情を知っている以上の出来事が起きる。
女は紅目に変化した後、渚に手を当て数秒が経つ。
すると、渚の辛さのある顔も徐々に引いていった。
「ありがとうございます」
「渚に世話になっているから、いい」
女達のやり取りを長々と眺める気はなく、部屋の中を見回していた。
落ち着いているという言葉が似合うのか。
視線を戻そうとした時、気になる物を見つけた。
「女の部屋をじろじろ嘗め回すように見るなんて、趣味が悪い」
「何?」
女の声で目の前の状況に意識が戻される。
女と僕との初対面でのお互いの評価は低い。
「相場さん、いいんです。耕一さん、何か気になる物がありましたか?」
渚も目ざとい奴だ。
僕の事を観察していたのか。
「あの写真は何だ?」
先ほど気になった物は、額縁に入った古ぼけた写真だった。
「これですか?」
渚はかかっている額縁をとって、僕に渡す。
写真の中には、二人の男女が写っている。
白黒で古くてよく見えないが、渚と見知らぬ男が傍に寄り添っている。
服装からいえば、時代は戦前、戦後のどちらかだろう。
「彼は、荒波の中、強く生きてました」
渚は男との思い出を静かに語る。
そこから、僕の事を無視するかのように通り過ぎて、渚の傍に膝をつく。
「大丈夫?」
「すいません。お手数、かけます」
「渚はけが人、気にするな」
屋敷に住んでいるという事は内情を知っているのか。
次の瞬間、内情を知っている以上の出来事が起きる。
女は紅目に変化した後、渚に手を当て数秒が経つ。
すると、渚の辛さのある顔も徐々に引いていった。
「ありがとうございます」
「渚に世話になっているから、いい」
女達のやり取りを長々と眺める気はなく、部屋の中を見回していた。
落ち着いているという言葉が似合うのか。
視線を戻そうとした時、気になる物を見つけた。
「女の部屋をじろじろ嘗め回すように見るなんて、趣味が悪い」
「何?」
女の声で目の前の状況に意識が戻される。
女と僕との初対面でのお互いの評価は低い。
「相場さん、いいんです。耕一さん、何か気になる物がありましたか?」
渚も目ざとい奴だ。
僕の事を観察していたのか。
「あの写真は何だ?」
先ほど気になった物は、額縁に入った古ぼけた写真だった。
「これですか?」
渚はかかっている額縁をとって、僕に渡す。
写真の中には、二人の男女が写っている。
白黒で古くてよく見えないが、渚と見知らぬ男が傍に寄り添っている。
服装からいえば、時代は戦前、戦後のどちらかだろう。
「彼は、荒波の中、強く生きてました」
渚は男との思い出を静かに語る。