夜獣2-Paradise Lost-
「行くのですね」
「それが、僕の生きる目的だ」
「そうですか」
渚は立ち上がり僕の傍に来ると、白い両手で僕の手を包み込む。
「あなたの事を待っています」
「変わった奴だ」
「そう、ですかね?ですが、私はあなたの協力者であって味方なんです」
「得な事など、何もない」
「あなたの生きている日々が私にとっての得です」
僕のマイナスな言い分にも笑顔を見せて答えた。
「お時間を取らせてしまいまたね」
渚は両手を離す。
「問題ない」
渚からありがたを感じた事や勇気や希望を与えられたなど思わない。
ただ、手には渚の温かみが残っていた。
僕は、渚の顔を見る事無く部屋から出て行く。
廊下の軋む音が響いて聞こえる。
僕はもう一度、この音が聞けるのだろうか。
外に出ると、少し風が強く、砂が舞い上がっている。
今日は平日であり、道場は開いているはずだ。
海江田は真面目な奴だから来るだろう。
海江田の向こう側の男の情報を聞かなければならない。
ただでは聞けないだろうし、元より奴は倒すべき相手だ。
乾は、何故海江田に能力を与えたのか。
それは解らなかったが、面白がっているに過ぎない。
僕の視界に乾の顔が浮かび上がる。
「く」
怒り、憎悪が胸のドロドロを一層濃くしているようだ。
一度思い出してしまうと、感情のコントロールが効かない。
倒すではなく、殺すという階級にまで昇ってきている。
ソレは止まらず加速し続けて、どこまで火の手は上がるのか。
「必ず、終わらせる。お前の意思を世界から消してな」
「それが、僕の生きる目的だ」
「そうですか」
渚は立ち上がり僕の傍に来ると、白い両手で僕の手を包み込む。
「あなたの事を待っています」
「変わった奴だ」
「そう、ですかね?ですが、私はあなたの協力者であって味方なんです」
「得な事など、何もない」
「あなたの生きている日々が私にとっての得です」
僕のマイナスな言い分にも笑顔を見せて答えた。
「お時間を取らせてしまいまたね」
渚は両手を離す。
「問題ない」
渚からありがたを感じた事や勇気や希望を与えられたなど思わない。
ただ、手には渚の温かみが残っていた。
僕は、渚の顔を見る事無く部屋から出て行く。
廊下の軋む音が響いて聞こえる。
僕はもう一度、この音が聞けるのだろうか。
外に出ると、少し風が強く、砂が舞い上がっている。
今日は平日であり、道場は開いているはずだ。
海江田は真面目な奴だから来るだろう。
海江田の向こう側の男の情報を聞かなければならない。
ただでは聞けないだろうし、元より奴は倒すべき相手だ。
乾は、何故海江田に能力を与えたのか。
それは解らなかったが、面白がっているに過ぎない。
僕の視界に乾の顔が浮かび上がる。
「く」
怒り、憎悪が胸のドロドロを一層濃くしているようだ。
一度思い出してしまうと、感情のコントロールが効かない。
倒すではなく、殺すという階級にまで昇ってきている。
ソレは止まらず加速し続けて、どこまで火の手は上がるのか。
「必ず、終わらせる。お前の意思を世界から消してな」