夜獣2-Paradise Lost-
「僕は例え何があろうとも冗談だと言うつもりはない。それが僕の責任だ」

闘わなければならない、生きなければならない。

それが次に繋がるステップだ。

「俺がお前の望んでいるモノを持っていなかったらどうするつもりだ?」

「あいつから力を得た、それ自体が罪だ」

「常識がぶっ飛んだキチ〇イだな」

海江田は落ち着きを取り戻し、闘う意志が沸いたのか顔つきが変わる。

「自分の融通を無理矢理通そうとするのは子供のすることだ」

「非常識の世界で常識を語るな。そして、足を踏み入れたのはお前自身だ」

自分に非がないというのならば、体に解らせるしかない。

「もはや、喋る事はない。拳で決める」

ジリジリと海江田に詰め寄っていき、間合いを潰していく。

「頭を働かせて考えればすぐにわかるものだ。本当にバカで不真面目の相手をするのは疲労が溜まる」

大きなため息をつくと、殺気を込めた紅眼が僕に向けられる。

重苦しいプレッシャーだが、難無くかわす。

誰かの唾を飲み込む音が二人の合図となる。

「何の考えもなしに力を行使するようなガキに俺は負けはしない!」

海江田の攻撃を食らえば両サイドからの痛みが生じるのだろう。

防御は無意味に等しく、攻撃を見極めて捌くか回避の二択しかない。

海江田が手始めに出してきたのは軽い右のジャブだ。

頭を振って左にかわし、右の回し蹴りを出す。

だが、前方の足を引いて回避すると少し距離が開く。

「ふん、お前の攻撃は当たる気がしない」

「ち」

白い空気があまり見えていない事から、上手く誘い込まなければならない。
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