夜獣2-Paradise Lost-
不調かと思ったが、それを言い訳には出来ない。

「お遊戯なら家でやるんだな」

前傾姿勢になり突っ込んでくる。

右足を前として間合いに入ると、右の突きが出てくる。

「く!」

体重が乗っている突きを食らえば、相当なダメージを食らうことになる。

回避のために首を振り、拳は頬を掠めた。

反対側の頬にも痛みはあるが、直撃は避けられた。

だが、1秒さえも命取りとなるので休んでいる時間はない。

それに、距離をとって逃げてばかりは出来ない。

鎖骨狙いで射ち落とすような感じにフックを放つ。

これは当たり、ラッシュとしてボディーに二発。

だが、海江田は外からの下段蹴りを隙のある足へと打ち込む。

内側からも痛みの走る蹴りに一々構っている場合ではない。

逃げる事無く、正拳突きを体に当てていく。

だが、海江田のローキックが止むことは無い。

威力が高い分、何度も食らっていてはすぐに足にガタがきてしまう。

差は大きい。

埋めるには能力が必要になってくる。

残り2メートル。

誘い込めば、一撃必殺の威力を発揮する。

次に出してきたローキックをバックステップで避ける。

そこを狙って、後ろ回し蹴りを腹部へと決め込む。

もちろん、ガードされたが、一歩分後方へと下がる。

このまま勢いで白い空気の場所へとごり押ししていくしかない。

海江田の攻撃を受ける覚悟で前へと出る。

だが、中段回し蹴りが僕の横っ腹を撃つ。

「ぐう!」

両方から来る痛みに我慢する事で、前へと進むチャンスを得た。
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