夜獣2-Paradise Lost-
「街に出かけてみてはどうですか?」

「街に能力者がいると?」

「解りません。ですが、何かしらの行動は必要だと思います」

「ああ」

渚が協力的な姿勢を見せている事には意外だ。

だが、協力的ならそれでいい。

奴の存在が近くなるというのなら、ありがたい話だ。

「その前に家に戻りましょう」

「必要ない」

「今の格好では、相手側が遠ざかるばかりです」

服の乱れが目立つのは確かだ。

「それに、疲れも残っていると思います。今日は少し休んでください」

「悠長な事を言っている暇はない」

「あなたは自分の体の事を解っていません」

「自分の事ぐらい」

「そうですか」

殺気は感じなかった。

しかし、後ろには誰かが立っていると気付いた時には、背中に何かが触る感触がした。

すると、意識が簡単に遠ざかっていく。

「お、前」

倒れる瞬間に見たのは、相場の顔だった。
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