夜獣2-Paradise Lost-
起きれば夜になっていた。

「くそ」

事が一段落したから油断していたとでもいうのか?

それとも、渚の言うとおり、肉体が疲れていたのか。

事実、肉体的には眠る前よりは動けそうだ。

「身体の汚れも落としていくか」

ここで焦ったところでどうしようもない。

部屋から出て風呂場に辿り着くと、服を脱いで湯船に浸かる。

体中には傷が鮮明に残っていた。

コレを見るたびに、自分自身には過ちがあると思い出させてくれる。

それと同時に、憎しみも沸いて出てくる。

だが、むやみやたらに暴れたところで、風呂を壊すだけだ。

「耕一さん?」

風呂場の外から扉越しに渚の声が聞こえてくる。

「何だ?」

「起きてらっしゃったんですね」

「ああ」

「湯加減はどうですか?」

「悪くは無い」

「それは良かったです」

次の瞬間、風呂場の扉が開いた。

「何をしている?」

そこには、タオルで身を巻いた渚の姿があった。

「ええ、私もお風呂を使わせてもらおうかと思いまして」

「後で入ればいいだろう」

「広いですし、何も問題はないと思いますよ」

雪坂邸の風呂は、渚の言うとおり広い。

風呂の中には、4人は余裕で入れるくらいのスペースは存在している。

「羞恥心はないのか」

「耕一さんの前ですから」

かけ湯をして、風呂の中に浸かる。

「ふう、耕一さんの言うとおり、いい湯加減ですね」
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