夜獣2-Paradise Lost-
癒しは答えではない。

答えを見つけてない以上、学校から去る事が出来ない。

昼間に校舎の廊下を歩くと、誰かに見つけてくれと言っているようなものだ。

しかし、お構いなしに歩き続ける。

教室の中から教師の声と黒板にチョークが当たる音がする。

「学生は幸せだ」

学校生活を一年も送らなかった。

幸せと気付いてなかった。

夕子に積極的な態度をとっていればと、後悔する。

雪坂と出会っていなければと、勝手なことを思い込む。

頭の中に混沌が生み出される。

答えがあるというのなら、忌避したい場所にしかないのかもしれない。

そして、僕は到達してしまったのだ。

目の前にある花、塗り替えられた壁。

壁の血痕を隠してはいるが、過去の惨劇が鮮明に広がる。

「あ、お」

息苦しいというレベルを超え、息が出来ない。

声が出ない。

体が動かない。

床に膝をつき、更に胸を強く握り締める。

薬と思ったが、家に置いている。

死ぬのか。

命は脆いと思っていたが、何もせず簡単に散るとは思わなかった。

しかし、夕子の元にいけるのなら幸福ではないだろうか。
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