夜獣2-Paradise Lost-
「止まれ」

学校を見ると憎しみが浮かび上がる。

『奴』の手がかりはココにしかない。

しかし、車は学校から離れて行こうとしている。

「相場さん、お願い出来ますか?」

「渚が言うなら、分かった」

学校から少し離れた歩道の近くに車を停車させる。

僕だけで学校に行こうとしたが、渚も降車した。

半ドア状態の車に頭を突っ込み、相場に話しかる。

「相場さん、先にお家へ戻っていただけますか?」

「渚は?」

「夕食時には戻ります」

「解った」

「苦労をかけてすいません」

「良い」

相場は家の方角へと車を走らせた。

「せっかくですから、今日一日ご一緒します」

「勝手にしろ」

学校の中に設置されている時計は十四時を差している。

生徒達は授業を受けている最中だろう。

「どこに行かれるのですか?」

渚の問いには答えず、中庭を越え、校舎の二階へと向った。

静かな廊下を少し歩くと、目的地の到着する。

僕が来たのは、夕子が死んだ例の場所。

廊下の端には、白色の菊が添えてあった。
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