夜獣2-Paradise Lost-
「だが、甘粕が能力者とするのなら、親も能力者になるはずだが」

親が大した能力を持っていなかったか。

「あなたの考えている通りかもしれません」

甘粕の力が強大であるという事がよく解る話だ。

社会の屑に容赦のない姿勢が、過去のモノから来ている。

「それでいい」

「嫌な予感がします」

「いつもの事だ」

自分が闘う時には、誰かが不幸になる。

それでも、強くならなければならない。

僕は、復讐のために生きている。

「死なないで下さい」

「僕はお前を利用したりていない。お前もまた、そうなんだろう?」

「そうですね」

解りやすい程の笑顔だ。

時刻は十四時。

数時間後には、甘粕史郎との戦いが始まる。

甘粕の効果範囲は手から、数センチ以内。

範囲内の物を断ち切る。

どんな物でも、瞬時に。

空気爆弾でもか?

それは、本当に厄介だ。

いかにして、甘粕の攻撃を掻い潜りながら、打ち込むかにかかっている。

やれる。

力があれば、出来る。

「耕一さん、怖いですか?」

「ああ、怖いさ。負ける事がな」

負ければ、『奴』に辿り着けなくなる。

死と同時に生きてきた意味を失う。
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