かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
健吾はその日、私を気遣って別々に寝てくれた。
そして私は一晩中泣き腫らしていた。
健吾が会社に行って、
私も家を出た。
今日は病院に行ってみようと思ったから、
カバンとか取りに、のんちゃんの家へ帰る為に…
家を出たら、陸くんがうなだれるみたいに座ってた。
そして、私に気が付いて、
悲しい笑顔を見せた。
「ここだと思った。希美さんが家に帰って来ないって言うから…」
「……」
「…彼とやり直すの?それで赤ちゃん産むの?」
今にも泣きそうな陸くんの笑顔。
無理した笑顔…
ズキズキ胸が痛んだ。
一晩中泣いて、考えた結論…
私はそれを言葉にした。
「…健吾とは結婚しない。愛してないのに、子供の為にって違う気がするの」
「……赤ちゃんは?」
「…生きてるから…1人で産んで育てる。殺せない…」
「…1人で?」
「うん、1人で」
陸くんは、ちょっと考えて、
ゆっくり口を開いた。