かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
さよなら
次に目が覚めたら、真っ白な天井が見えた。
「桃…」
「桃香…」
「のんちゃん…陸くん…」
何でここにいるのかわかんなくて…
あ…そうだ私お腹痛くなって…
「…あ、赤ちゃんは?」
「……桃…あのね…」
「…?」
「赤ちゃんね…ダメだったの…」
のんちゃんは悲しそうに伏し目がちな目でそう小さく言った。
赤ちゃんはダメだったんだ…。
もともと、お腹の中で育っていない状態だったらしく、
それが流れてしまったのだと説明された。
そういうケースは20~30%くらいあるらしい。
育つ力のない受精卵が、普通は着床しないのに、
何かのきっかけで着床してしまうんだそうだ。
仕方のないことで、防ぎようのないことらしい。
そう言われても…やっぱり自分を責めてしまった。
情緒不安定だったり、
思いっきり走って逃げたり…
私、自覚が足りなかったんだ。
母親としての自覚がなかったから…
ごめんね、ごめんね、
赤ちゃん…。