かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
「出来たよ~」
「美味しそう!桃香の手料理だ!」
「え、手料理たって、お蕎麦だし…喜ぶようなものじゃないよ(笑)」
「いいの、桃香が作ってくれたんだもん!俺はすごい嬉しいんだよ?」
陸くんの優しい笑顔。
笑顔で美味しいって食べてくれる陸くん。
陸くんとの時間は幸せで幸せで仕方なかった。
食後、食器を洗ってたら、
拭くのを手伝ってくれた陸くん。
優しいなぁなんて横顔を盗み見してたら、
いきなりこっち向くからビックリしちゃった。
「ん?何?どうした?」
優しい表情でそう尋ねられる。
「あ、ううん。何でもないの…ただちょっと見てただけ…」
「そう?なんか顔真っ赤だけど…(笑)」
「うん、たまたま見ただけ…あ、それより…陸くん時間いいの?」
「ん?時間?」
「うん、そろそろ帰らないと、ご両親ご心配されるんじゃないかなぁって…」
急に目が合って、
見つめてたのがバレバレで見透かされてる気がして、
それがとっても恥ずかしくて、早口でそっけなくなる。
「……」
陸くんの反応が返って来ないから、
不思議に思って見上げると、
「桃香は、俺と居たくないの?早く帰したいみたいだね…」
悲しげな陸くんの顔に慌てる。
「違うよ!そんなことない!本当は私だって、陸くんと一晩中一緒に居たいよ!
でも…ほら、そんなことしたら陸くんのご両親にご心配かけちゃうし…。
そんな事で、私という彼女の印象が悪くなって、嫌われたら悲しいし…だから…」
「あはっ!やっぱり桃香可愛いや!」
急に笑い出す陸くんに、
演技だったんだって気付いた…
「ひど~い!本当に傷つけちゃったかと思ったのに…」
本当に焦ったのに…
陸くんに嫌われちゃうんじゃって、
本当に怖くてたまらなかったのに…
「ごめんね、ちょっと試したくなっちゃって…」